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時代のある、木彫狛犬の残欠です。
鼻先、体部の側面、前脚の先を大きく欠失する他、尾、後ろ足先など、ちょこちょこ失っていますが、痛々しさは微塵もなく、見事に美しい経年変化を遂げています。
途中から欠失する右前脚は、一見、「お手」をしているように見え、頭部も、鼻先を失くしていますが、舌を覗かせる様は愛嬌があります。
藤末鎌初まで上る木材の緻密な木目、木目を考えた木取り、程よく残る胡粉、たてがみの毛束の表現など、時代を経た木彫の存在感をお楽しみいただけます。
状態について
右体部を縦に、三分の一程欠失していますが、幸い頭部を参拝者の方へ向けている為、顔の縦方向の欠失は免れています。脚先を欠失しておりますが、自立いたします。表面の細部の状態は、中央の拡大画像で、ご確認ください。
時代について
鎌倉、南北朝時代の狛犬には、
「奈良様復古の様相をあらわすもの、藤原風の継承を示すもの、およびこの両者の融合により親しみ易い作風となるもの、という三つの流れ」(『日本の美術 狛犬』)がありますが、まさに、奈良様と藤原風が融合した親しみやすい、その頃の作品と考えます。
右側の画像、上は、狛犬の威厳が感じられ、下は、こちらを向き、耳を垂らし、愛らしく感じられます。いかがでしょう。比較的小振りなところも、身近に置いてお楽しみ頂きやすいように思われます。
尚、黒い敷板は付属いたしません。
高さ:20.5cm 幅:8cm 奥行き:17cm 箱なし
どうもありがとうございます。
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