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半蔵門ギャラリー 繍仏不動明王像  

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珍しい繍仏不動明王像です。濃茶地を背景に、岩座に坐り、火焔光背を背負い、右手に剣、左手に羂索をとる姿が、黒、赤茶、黄土色の刺繍で描かれています。図像は、開元13年(725)善無畏訳『大日経』にて最初に詳述された不動明王像(*1)を忠実に表しているようです。

繍仏の歴史は古く、飛鳥時代まで遡りますが、以下は、中世以降の繍仏について参考資料の抜粋です。

「鎌倉期の刺繍作品・・いずれもその製作動機は作善によるものと思われ・・個人の礼拝の対象として製作され・・宗派にこだわらず作善として追善供養、造仏の思想がこれらの繍仏作品を製作させたと思われ・・繍仏の作品は、むしろささやかな個人宅で信仰の対象として朝夕に礼拝されていた。かかる傾向は室町時代になっても衰えず・・その傾向は濃くなった感がある」(*2)

「繍技は時代により巧拙の差はあるが、繍技のみでその刺繍の製作年代を決めることはできない。製作年代の決定は、主として図様の構成とその作風による」(*2)

「繍技をみれば、近世は染織品の宝庫であって刺繍の作品も例に漏れないが、その技法は同時代の繍仏にももっぱら用いられ・・面をふんわりと埋めていく平繍や渡し繍・・その上にさらに文様を繍い表す留め繍が多く用いられる・・刺繍糸は中世の繍仏に比べれば色数も増え、様々な中間色も多用されている。つやがあって発色も鮮やかである。特に江戸時代以降は、奈良時代以降絶えていた金糸がふんだんに使用されるようになる」(*3)

また上記資料の「さまざまな技法」(*3)では14種もの刺繍技法が紹介されるなか、本不動明王像は、ほぼ二技法、火焔の縁を纏い繍、不動明王像を「針り目が目立たぬように針目の方向を一定にして、長短交互の針目で表面を埋めていく」刺し繍で、製作しているようです。

限られた繍技で、色数も少なく、落ち着いた色合い、素朴な作風から、本作品は近世以前、個人宅での礼拝用に製作されたものかと考えます。

不動明王と言えば憤怒相ですが、一針ひと針縫い進めていった作者の人柄でしょうか、このお不動様の表情には親しみをおぼえます。
「その功徳は、仏の教えを妨害する者や災害を除くこと、また財宝を得ることができるとされ、盛に信仰された」(*4)
身近におかれてはいかがでしょうか。
本紙:22.2×13.5cm 額:47.3×39.6cm

*1
「開元13年(725)善無畏訳『大毘盧遮那成仏神変加持経(略して『大日経』)』ではその姿に関する記述は詳細になって、「不動如來使者は慧刀・羂索を持ち、頂髪が左肩に垂れ、一目にしてあきらかに見、威怒身で猛炎あり、磐石上に安住している、額に水波の相があり、充満した童子形である」と説いている。」
『仏像図典』佐和隆研編 

*2 『日本の美術 #59 刺繍』 守田公夫編

*3 『日本の美術 #470 繡仏』 伊藤信二

*4 『仏像鑑賞の基本』 久野健 

接写画像はガラスを外して撮影しています。
 


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