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半蔵門ギャラリー 魚養経一紙軸装  

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伝誦筆者の名に因み『魚養経』、または伝来に因み『薬師寺経』などと呼び慣わされる奈良時代後期の『大般若波羅蜜多経』の巻第一百九十です。

朝野魚養(ぎょよう/うおかい/なかい)は「空海の書道の師で・・元興寺十輪院の住僧で、十輪院境内には現在もその墳墓が残る。この「大般若経」も以前は十輪院の経蔵にあった・・流失し、薬師寺の有に帰した」(*1)等により、伝誦筆者とみなされたようです。

数年前、藤田美術館蔵『魚養経』三百八十七巻(昭和41年国宝指定)について研究調査、具体的には、巻末紙背に残された校正記の読み取りと、奉写一切経所校正僧手実帳との照合、という緻密な作業の結果、『魚養経』は造東大寺司管下の写経機関「奉写一切経所」にて書写・校合されたもので、書写年代は宝亀初年頃(770〜71)完成とみるのが妥当、との見解が下されました。(*2)

極を魚養とする古写経切は、手鑑はずし等、まま目にいたします。大ぶり雄勁な書は魚養とすることもあったようで、それは、奈良時代後期の書風を裏付けるものではありますが、真に薬師寺伝来とはひとつ違うようにも思われます。
本紙は、巻頭内題上の二顆の朱円印「薬師寺」と巻首裏の黒印「薬師寺金堂」を持つ正真正銘薬師寺伝来のもので、国宝指定藤田美術館蔵巻第一百八十九の次巻です。

千二百五十年前、二度と人の目に触れることは無いと思われた巻末紙背に、さらさらと校正終了のサインを遺した人々、彼らの名は年代別古文書にも認められ、それらを突き合わせることで、漠然と奈良時代後期とされていた『魚養経』の書写年代が判ったのです。

写経生らの日々は、新材を以て作られた清潔な住居に暮らし、書写時には浄衣に着替え、神聖な仕事故汚れをいみ清浄を尊ぶ生活であったようです。(*3)きれい好きで黙々と仕事をこなす古代日本人の姿が見えるようです。

表装の上下は古い着物をほどいたものです。やけて微妙に異なった青色を繋いだ結果、時代を感じさせる表情豊かな一幅に仕上がったように思われます。
僭越ですが、天平写経生の紙本墨書の世界を、古来の掛け物という形にてお愉しみいただければ幸いです。
太巻 軸:103 x 68.5 cm


*1 『古写経』根津美術館
*2 「藤田美術館蔵『大般若経』(魚養経)の調査研究」野尻 忠 著
*3 『写経より見たる奈良朝仏教の研究』石田茂作


・表装の異なるもの、額装などもございます。お問い合わせくださいませ。
 


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