|
東大寺伝来二月堂焼経断簡額装です。
奈良時代から東大寺二月堂に伝来し、寛文七年(1667)の修二会の大火で二月堂が全焼した折に受けた焼痕から二月堂焼経と称される紺紙銀字経です。
奈良時代の写経は一部を除いてほとんどが紙本墨書ですので、奈良時代の書、という魅力に加え、装飾経としての楽しみもあると思われます。
状態はご覧のとおりです。銀字は金銀混ざったような複雑な色合いに輝きます。額は黒く見えますが、濃茶で内側に金を廻したものです。中の焼経と一体となり、どこか現代風に映るようにも感じられます。
意味に関して、経文と現代語訳(*)を比較したのですが、難しく正確には分かりませんでしたが、以下のように理解しました。
経文は、東晋の佛馱跋陀羅譯六十巻本華厳経の離世間品第三十三の三からで、
「仏子よ、菩薩大士は十種の不動心をおこす。十種とは何であるか?」に対する十種の返答のうちの八番目の解答の一部とおもわれます。
二行目の「信」の上に「p」のように見えるのは、「佛」と言う文字の右下の部分で、経文は下記になります。
(菩薩行発不動心成就有根)信不濁信離垢
(信明浄信恭敬供養一切佛)信不退転信不
僅か二行、十二文字ですが、その美しさはもちろんのこと、「不退転(修行が退転せぬこと『広辞苑』)の信」など、身が引き締まる思いのする箇所とおもわれます。
額:39.9 x 30.6 cm
*『全訳華厳経』江部鴨村 篠原書店
追記
正確な国訳を、ご専門の方にご教示いただきましたので、その資料もお付けいたします。
|
|