|
大阪、四天王寺の白鳳時代の軒丸瓦です。詳しい名称は、無子葉弁十葉蓮華文軒丸瓦となります。
「蓮弁はわずかに膨らみを持ち、その幅は均一で先端は丸い。中房は蓮弁よりも高く、やや間隔が不揃いな蓮子が 1 + 6 の配列で置かれている。外区には、蓮子と径の等しい珠文が不揃いに配されている。周縁は幅狭く低い。丸瓦との接合は瓦当上端に幅 2.5 cm 前後の溝を彫り、そこに丸瓦の先端を食い込ませる手法を採っている。接合度合は弱く、当該部分での剥離が見られる。焼成は不良で軟質、胎土は砂粒を含む。・・東照宮跡、西門周辺、食堂跡などで出土しており、創建期のものに次いで出土量は多い。」(*)
本軒丸瓦は参考画像のものと同范と考えます。
中房の蓮子も画像では判りにくいかもしれませんが、触れると 1 + 6 の配列が確認できます。また、焼成、胎土の様子も説明に合致するものです。本軒丸瓦では瓦当と丸瓦との接合が巧くいっており剥離していません。その為か、重厚な雰囲気があります。裏面に「大阪四天 本?」と読めます。
状態はご覧のとおり二つに割れております。割れた部分を見ると、とても滑らかな経年変化を見せ、また風化の様子もそれぞれ異なっております。大昔にこの丸瓦は二つに割れ、距離を置いて埋もれ、昭和に入って出土したものかもしれません。割れてしまったことを嘆くより、長い月日を経て、またひとつとなったことを慶事と見たいと思います。箱なし 直径:19.0 cm 白鳳(奈良前期)
*引用・参考画像(重要文化財):『四天王寺古瓦聚成』
どうもありがとうございました
|
|