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臨終に極楽浄土へと迎えに来てくださる阿弥陀如来と観音・勢至両菩薩を描く阿弥陀三尊来迎図です。
阿弥陀来迎図には、立形と坐形、そしてそれぞれに正面向きと斜め向き(左上から右下)等ある中、これは動きのある面白い、斜め向きの乗雲来迎図で、色彩的にも雰囲気がある一幅です。鎌倉時代に生みだされた典型的な三尊来迎の構図ですが、これは後世に転写した、江戸初あたりのものではと考えます。
阿弥陀如来の立ち姿は泰然とし、眼差しは静かです。観音菩薩が蓮台を捧げ持ち腰を屈める様は、思わずそちらへ手を伸ばしたくなるような暖かみがあり、合掌する勢至菩薩は前屈みで両肩がやや内向きになり、心から手をあわせる様子が感じられます。一尊づつ別々の雲に乗り、さらに踏み割り蓮華上に立ち、歩み寄る様をみせます。
本紙の状態は決して良くありません。折れ破れなどご覧の通りですが、補修されてから時代が経っており、その補修も信仰の対象である仏画への自然な心遣いによるものと思われます。表具は、おそらく制作時のものと思われる上下を使用し、締め直しました。
全身金色に彩色した仏様は暗い背景によく映え、頭光や蓮台には柔らかな緑青色が浮かびます。画幅では、左上が西、右下が東を表します。往生する信者を蓮台にのせ、仏様は再び左上の西方浄土へとむかわれます。 紙本
本紙:46 cm x 22.4 cm 軸:95 x 33 cm
状態の詳細はお問い合わせ下さい。
どうもありがとうございました。
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