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やや下膨れの庶民的なお顔が親しみやすい宝珠錫杖地蔵菩薩の印仏です。
「三体一版の版木を用いた反復の地蔵印仏で・・シャウワム二年(正安二年/1300年)の墨書や結縁者名を有するものがある」(*)鎌倉時代まで上る印仏です。
左を向き、左肘を曲げ宝珠を高めに捧げ持ち、右手は錫杖を握り、踏み割り蓮華座により歩み出す様を表しているようで、救済においで下さるお姿を表したものでしょうか。
また錫杖は「頭部に環がついた杖・・これを鳴らし毒蛇を避けた・・転じて障害を避ける象徴として地蔵の持物となった」(*)ものですが、その力を強調するかのように、錫杖のラインは頭光その他の曲線と対照的に、鋭く表されているように感じられます。
宝珠錫杖地蔵は、『仏教美術の基本』(石田茂作著)によると、彫刻ですが、資料として挙げられている14躰の宝珠錫杖地蔵のうち二躰が藤原時代、残り十四躰全て鎌倉時代のものです。このことからも、このお地蔵様は鎌倉時代のお地蔵様の姿です。
虫損が激しいのですが、参考画像でもかなりひどく、このような状態のものが多かったのではと想像いたします。
地蔵高:6.7 cm 額:29.1 x 38.2 cm
* 引用・参考画像:『仏教版画入門』町田市立国際版画美術館
左端は額装前のスキャナー画像です。 |
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