|
江戸時代の真言宗の僧侶、慈雲(*)の一行書です。
行住坐臥常尓一心(ぎょうじゅうざがじょうにいっしん)
引首印 朱文長方印「一向日我仏子」
落款印 朱文方印「慈雲」 白文方印「釈飲光印」
「行・住・坐・臥は四威儀といい、立居振舞のこと。すなわちこの句は、日常生活すべての行動において、心をこめて正しく行ずるの意。尊者の著『坐禅三昧経注釈草本』に、「四分律に云く。行住坐臥、常爾一心に諸蓋を伏せんことを憶えと。是れは一切時を制するなり」と・・高貴寺(*)庫裡にはこの句を書した柱掛がかけられている」
『慈雲尊者の書』根津美術館
誰にでもがすぐに読めるものではない、と思われます。
読めないからこそ、墨跡の躍動感だけが目に飛び込んでくる。視覚的な面白さ、存在感がストレートに伝わってくる。やがてその意味するところが分かり、より深い世界へと導かれる。
そんな面白さがあるのではないでしょうか。
「行」「心」の、この個性的な書体を尊者は他でも書いておられます。また、この句が、尊者が晩年の30年を過ごされた高貴寺の庫裡にも見られることからも、書、内容とも尊者らしい一幅とおもわれます。
白と黒の大胆なコントラストはモダンで、現代的な無機質な空間にも映えます。表具は古裂を使いつつ、すっきりとした額装のイメージにしました。太巻
軸:161 x 30.5 cm
*1718〜1804
高貴寺の開山。浪速(大阪府)出身、僧名は飲光(おんこう)、慈雲は字(あざな)・・釈尊を尊崇し、釈尊仏教への回帰を求め、正法(しょうぼう)律を提唱し・・河内高貴寺を正法律の道場として、戒律復興運動を大成させた。
『大法輪 特集仏教人物事典』
*画像では判りにくいのですが、表具の上下は濃い緑色です。
どうもありがとうございました
|
|