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迫力ある、作ゆきの良い、古墳時代後期の馬形埴輪頭部です。
肌は赤く明るく、馬具の表現は立体的で面白く、また、たてがみと頸部に内側を赤く彩色した三日月形の彫り物を飾る、魅力ある馬形埴輪頭部です。
群馬県では、出土例も多く、研究もすすみ、それぞれの特徴から3タイプに分類され、形式化が進んだと考えられています。
これも、馬の鼻面を筒形に作るなど、形式化がみられますが、同時に、生きた馬を観察し、忠実に作り込もうとした様子が見受けられます。
目の周りをやや盛り上げて、生きた馬のやさし気な大きな目を表現し、顔から頸へと続く下あごの部分を、実際の肉付きを思わせる柔らかな曲線にしています。
内側を赤く彩色した三日月形文は、この馬形埴輪の大きな魅力ですが、同じように、たてがみと頸部に二重円文を彫り内側を赤く彩色した馬形埴輪が、群馬県綿貫観音山古墳から出土しています。
これらの馬形埴輪は二重円紋が胴部にまで及ぶ華やかな飾り馬ですので、この馬形埴輪もそのような飾り馬であったと考えられます。
「動物埴輪のなかで馬の埴輪は最も早い時期から作られ、かつまた最も多い」『群馬のはにわ』群馬県立歴史博物館
「(群馬県地域の)馬形埴輪の出土例は325例を超え..」『群馬県内出土の馬具・馬形埴輪』群馬県古墳時代研究会
とありますが、実際には、佳品と言える馬形埴輪には中々出会えないものです。
出土は未詳ですが、群馬県ゆかりの人物の旧蔵であったことからも、群馬県出土と思われます。
補修は、あちこちに見られますが、鑑賞を妨げず、かつ、よく観れば補修箇所が判る、好ましいものです。
高さ(含台)38cm 長さ約40cm
どうもありがとうございました
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