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きれいな紺紙金字の典型的な高麗経です。
濃いめの紺紙は紙高があり、界上界下を広く取り、天地の横界を子持ち罫にひき、そこに経文を金泥にて大ぶりの楷書で、堂々と書写しています。
極札も、多くの紺紙金字高麗経のように、伝称筆写を慈恵大師とするものが二枚、裏面に貼付されておりましたので、そのまま額装しました。
お経は、鳩摩羅什訳の妙法蓮華経巻第一方便品第二からです。
方便品は「如来寿量品と共に法華経の二大主柱といわれる教義的に最も重要な品で・・進行役は釈尊の二大弟子の一人、知恵第一と称される舎利弗が務めるため、知的に深い問答が展開されている」『仏教経典の世界』
本断簡は、舎利弗の説く偈の最初の部分で、訳は下記になります。
「無上の両足尊よ 願わくは第一の法を説きたまえ。われは、為、仏の長子なり 誰、分別して説くことを垂れたまえ。この会の無量の衆は 能くこの法を敬信せん。仏は已に曾て世世に かくの如き等を教化したまえるをもって 皆、一心に合掌して 仏の語を聽受せんと欲す。」『法華経 上』岩波文庫
書はかっちりとした印象ながらも、実際に大きいのですが、のびのびとしており、素直な良い書だと思われます。飾ってインテリアとしてもお楽しみいただけます。
本紙:30.3 x 5.4 cm 額:38.9 x 29.9 cm
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