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鎌倉時代の、印仏を印捺した三千仏名経の断簡軸装です。
「単弁の蓮華座に坐し、両手を胸前に組んだ如来を印捺し、その下に三世三千の仏名を墨書している。罫線と仏名等肉筆にして、恐らく罫線を引いたのち、如来形を一体一版にて印捺し、仏名経所載の各尊の仏名を記したのであろう。簡単な彩色が施されてあり、同一の尊像を制作する下絵として版が用いられており、型の使用として注目される。装飾経的な色合も多分に濃い。仏名会などに用いられたと思われる。
注 仏名会(ぶつみょうえ)
十二月十九日より三日間仏名経によって、三世(現在、過去、未来)の三千の仏の名を唱えて、罪業の消滅を祈る法会。宮中でも室町時代まで恒例行事として清涼殿で行われた。」
引用・参考画像『仏教版画入門』町田市立国際版画美術館 より
二行目三文字目は、二文字目と同じ「无(無)」が書かれていたものを、いつの頃か誤写に気付き、上から「天」と書き改めた痕です。
また、その下の「談」の横は読みのようです。どちらも仏名会などで実際に使用された跡ではないでしょうか。おおらかな様子が伝わってきます。
参考画像にも同様に、左から三行目下から二文字目に「コウ」と書き込みがみえます。
また、参考画像は左から二行目に莊嚴劫千佛名經二百竟とあり、該断簡は莊嚴劫千佛名經一百竟に続く部分ですので、これらがきわめて近い部分であることが分かります。従って同筆であり、書き込みも同一人物によるものと考えます。
少し派手やかに仏様を荘厳してさしあげたく、お寺で使用されていた古布にて表具いたしました。太巻 鎌倉時代
本紙:26.7 x 12.8 cm 軸:93 x 22.5cm
どうもありがとうございました |
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