|
やさしい空気をかもしだす愛らしい奈良元興寺の千体地蔵菩薩立像です。
よく観ると、左手や足先が欠失しているようですが、一見するとそれに気付かぬ程美しく経年変化しています。白土も程よく残っております。
お顔の輪郭、肩のラインや袂（たもと）の左右の開き加減など、もともと彫りも好いように思われます。
また、木目が、お顔の中心から同心円で徐々に広がり、左右の袖（そで）、衲衣（のうえ）の前、裾（すそ）にかけて等、効果的に表れているのは、木取りを考えてのことと思われます。小さな簡素な地蔵菩薩を彫った人の心遣いが感じられます。
元興寺の千体地蔵は像容が色々あり、大きさも多少大小いたします。台座も、蓮華座、臼型座、筒型座、台座なし等ありますが、これは台座ナシのものです。
前後とも、裾から割れ（画像→）が、あります。
ホゾを抜かしたお地蔵様の身長は9.6センチ。素人造りの台に載っております。箱はございません。鎌倉時代
参考画像：台座なしのもの『日本仏教民俗基礎資料集成五 元興寺極楽坊』
|
|
