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そのむかし、右も左もわからない新米の頃はずいぶんと中世古窯を求めて東海地区を駆けずり回っていたものでした。名古屋市内はもとより、安城や岡崎、豊田に日進、そして渥美や知多半島の各地は発掘ものが多く出ていて、それらを扱う地元の業者さんはいろいろな優品を持っておられて、それはそれは垂涎の的でありました。
いきなりの詮無いむかし話で書き出しましたが、たくさん扱ってきた今でもこんなものを見ると胸が熱くなると云いますか、見捨ててはおけない気持ちになりますね。
窯ヒビから亀裂が走り、弾けてしまって大きな穴がすでに窯のなかで空いてしまったようですね。それをふさいで花を生けられるように修復していて、一部を呼び継いでいますが同じような小壺の畳付き部分を使っています。満身創痍と云えばその通りなんですが、やはりこれを取り上げた人が見捨てなかったのはこの自然釉の所為でしょう。
薪の灰がたっぷりとかかってそれが高温でよく融けてガラス化して見事な膚に上がっています。釉薬の厚い部分は濃いオリーブグリーンでキラキラと光っています。
この手の小壺は鳶口にしているイメージですが、それは13世紀後半に入ってしまうもので、こちらは口作りはシャープで頸部が薄く作られている一手古い時代のもの、突帯の名残が沈線で表現されている平安時代最末期から鎌倉時代のごく初期のものでしょう。
今回は庭のミツデイワガサをなげいれてみましたが、本当にみずみずしい花をきれいに受け止めてくれました。
完品であればなかなかに高価なものではありましょうが、この状態であればいっそ気軽に使いたいものになるかと思います。どうぞ野花を生けて愉しんでみてください。
高さ10.3 胴径12.6センチ
桐箱に収められています。
画像でおわかりと思いますが燻銀で繕われています。また水は直接入れられます。
画像に出てくる敷板は付属しませんのでご了承ください。
御売約ありがとうございます。 |
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