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絹本 着色 共箱
昭和14年對柳荘御所蔵品入札目録所載
明治から大正にかけて活躍した渡邊省亭は、写実と透明感のある彩色で近代日本画を拓いた画家のひとりです。花鳥画で知られる一方、菊池容斎に学んだ女性像も秀逸で、切れ長の目元の涼やかな瓜実顔は省亭美人と称されるほど。
本作は源義朝の側室・常盤御前が三人の子を連れ雪道を逃れゆく場面。雪景に映える紅衣が親子の過酷な旅路を鮮烈に彩ります。
その卓越した色彩感覚が物語性を高め、優美さの裏に潜む緊張感まで描き出しており、省亭独自の美意識が凝縮された一幅といえるでしょう。 |
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