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紙本 水墨 浦上家史編纂委員会
「浦上玉堂関係叢書 浦上玉堂 父子の藝術」所載
浦上玉堂は江戸中期、備前岡山藩士の家に生まれた文人画家です。琴詩書画を愛し、とりわけ水墨画で独自の境地を切り開きました。
本格的に画業に取り組み始めたのは四十代から。筆草を用いるなど、掠れを生かした擦筆表現を極めました。本作では筆の掠れによって木々の鋭さや山間の空気のふくよかさを感じる静謐な風景を描いています。
それは、玉堂の心象風景そのものかもしれません。職業画人を拒み、文人として自由な筆を選んだ精神がこの一幅から静かに伝わってきます。 |
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