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初期伊万里という言葉の響きに魅かれてとにかくいろんなものを追いかけていた駆け出しの頃、それはそれは高嶺の花で、手も足も出ないような思いをしてきたこともありました。
今でもおいそれと手を出せない逸品はもちろんありますが、むかしに比較して手に入れやすい時代だなとつくづく感じます。
せん無い昔話からで恐縮ですが、これなどほんとうに日々使って愉しいものが上手く手に入れることが出来て嬉しかったものでした。
もちろん酒盃として生まれているわけもなく、向付として数十客単位で揃えられていたのでしょうが、こうして一人旅になってしまったからにはやはりお酒で愉しみたい、見立て酒盃として大いに活躍してもらえたらと思っています。
芙蓉手と呼ばれるもともとは中国のお手本を日本で写していったものですが、創成期に日本に渡ってきた中国人陶工の集団が生み出したのでしょう。本歌にもあるナズナ手が主文様として内外に描かれています。間を仕切る線は蓮弁状の形になっていて、これなども多分に大陸的ですね。
しかし全体の雰囲気は本歌のシャープさは影を潜め、ぽったりとした厚い素地で和様化していますね。こんなところも見立てとして好ましいものです。
手にする方のお手許で永く愛されてほしい一品です。
口径9.6~10.0 高さ5.7~6.1センチ
江戸時代初期
桐箱に収められています。
口縁外側に薄い削げが2か所、約1.3センチのニュウが1本見られます。
画像に出てくる盆や他の器は付属しませんのでご了承下さい。
御売約ありがとうございます。
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