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世の中に無地刷毛目と呼ばれる技法のやきものはたくさんありますが(たくさんというのはちょっと云い過ぎかな。堅手や白磁、木灰釉のうつわに比較すれば圧倒的に少ないわけではありますが・・)、その上がりや質感は千差万別、いろんな個性があるもんです。
面白いと素直に思わされるような景色を持ったものはやはり少なく貴重なものでありますが、その意味で久しぶりに買ってみたいと思った一碗に出会いました。
平茶碗としては理想的なサイズ感で、手取りも気持ちのいいところ。高台も大きく印象的な赤い素地が見えています。
見込みは艶のあるところ、マットな質感の部分があって変化に富んでいます。目土痕の釉薬が溜まったところは碧く光ってきれいですね。
外側は化粧土が勢い余って流れが走り、ここにも釉溜まりの青磁のような玉が見どころになっています。
化粧土は一歩間違うとカセがひどくなったり、釉層から外れるとそこから黒くなったりしますが、これは粉青沙器としてはベストな上がりで気持ちのいい質感で愉しめます。
お茶道具というのはなかなかに一筋縄でいかない世界ではありますが、こちらは健康的な明るいストレートなジャンル。それぞれに魅力があるものですが、どちらかと云えば古民藝の世界に近いものでしょうか。
そのような目線で選ばれて長いこと大切にされてきたようで、明治~大正くらいの伝世箱に収められています。敷綿の下にメモがあって「高麗平茶碗 金弐万五千円」とあって、いつのメモかはわかりませんが明治大正頃のものとすれば、かなり高価な買い物であったようですね。
まだまだこれからも育つ余地のある、愉しみどころの多い朝鮮陶磁です。
口径17.3~17.5 高さ5.2~5.6センチ
朝鮮時代前期
桐箱に収められています。縞の包み布や風呂敷が添っています。
見込みの一部にニュウがありましたが、ご使用に関しては特に支障ありません。
画像に出てくる敷板は付属しませんのでご了承下さい。
御売約ありがとうございます。
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