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毎度おなじみの秦秀雄好みのご紹介なんですが、今まで知らなかったという方へちょっとだけ解説。
秦秀雄は1898年福井県生まれ、東洋大学を卒業後に教職者の道へ。その後北大路魯山人と知遇を得て彼の星岡茶寮の支配人となる。
柳宗悦、青山二郎、白洲正子との交流は深く、また詩人の三好達治とも深くかかわり、井伏鱒二の小説「珍品堂主人」のモデルともなった。
また多くの古美術骨董に関する著作を物して広くこの世界に影響を与え続けた。
と、こんなところなんですが、彼がこれほど支持されたのはやはりその諧謔味溢れる文章の魅力なんじゃないかと思っています。
時に辛辣に凝り固まった価値観を笑い飛ばし、来歴ばかり有難がる鑑賞態度と一線を画す、リアルな生活のなかでの骨董使いを提唱し、ウィリアムモリスよろしく美しく暮らすことを実践していた方ですね。
高説を打つわけではなく、こんな風に愉しんでみたらいいんじゃないかというテーゼにシビレた人たちは上記の有名人ばかりではなく古美術鑑賞者をはじめ、われわれ商売人たちにも大いなる影響を及ぼしました。かく云う私もそのはしくれであります。
お茶を点てる、淹れる、酒を呑む、こんな今では当たり前のこんな骨董の愉しみ方も氏がおられなければメジャーにならなかった、もしくはもっともっと遅くなったとは云えるでしょう。とにかく絶大な影響力だったと思います。
さて氏の著作の一つに「古伊万里圖鑑」がありますね。そのなかでも紹介されている網手の小碗です。
たくさん世の中には存在するものでしょうがその中では少ない、見込みにも網手が描かれている一品をご紹介します。
くらわんか手のひとつで、見込みにはこんにゃく印判で菊花が施されていて手のいいものですね。深いタイプにしか見込み文様は描かれないようで、これもリズミカルに屈託のない筆で菊花状の線が描かれています。外側はこれまた鼻唄交じりのいい具合に力の抜けた気持ちのいい線が連続しています。
疵はあってもくらわんかなどに関して云えばあまり気になるものでもなく、すぐにそのままお使いいただけると思います。
令和の世の中に秦イズムが痛快に響き渡ることが今また必要なんじゃないかなと思っています。毎日食卓に上る愉しく健康的な骨董ですよ。
口径9.7~10.0 高さ4.8~5.0センチ
江戸時代中期~後期頃
箱はありません。
口縁からニュウが2本、高台畳付き部分に微細な削げ
画像に出てくる盆は付属しませんのでご了承ください。
参考画像 大門出版美術出版部発行 秦秀雄著 「古伊万里圖鑑」より 同手掲載
御売約ありがとうございます。
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