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升は計測器としての歴史も深く、また様々な様式やサイズが存在します。蒐集家もおおく、またあまたの数奇者から愛されてきましたが、屈指の難関は本作のような中世の年号が入った寺院升です。天正二年六月ですので前年まで室町時代。有名な利休の茶杓「天正二年春」が削られた数ヶ月後のことです。
奈良茶の流儀として利休のころから河瀬虎三郎の時代にいたるまで、味のよい寺院枡は莨盆や花生に見立てられてきました。売り物としての寺院升はそう簡単に見つかるものではありません。かつての数奇者に想いを寄せ、遊ぶ。このような伝統は絶やすべきではないと考えます。こちらも竹花生と同様、吉平さんの蔵から出てきました。
桐箱付属
175 × 175mm/高 93mm
天正二年(1574年)六月吉日銘
◎どうもありがとうございました。
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