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三嶋手とは日本式の命名で、由来は駿河の国は三嶋にある三嶋大社、ここから発行されるカレンダー、いわゆる三嶋暦から来ています。細かな象嵌紋様が暦の小さな文字の連続のように見えたことからですね。
これが作られた当時かなりの人気を呼んだと見えて、発掘も含めると膨大な数の三嶋手が存在しているかと思います。しかしそうなるとモノの優劣がはっきりとして意外に好ましい質感のそれは少ないものかもしれません。そういうことでは合格と云って頂けるのではないでしょうか、こちらのお茶わんは。
縄簾のように細かな象嵌紋様を施した上に化粧土を刷毛塗りでたっぷりと贅沢に使用していますね。ちょうど上田暦手などに見られるような二徳三嶋などと云われるようなものかもしれません。
朝顔形に開く茶碗、平茶碗と云ってもお皿を見立てたものではなく、最初からお茶わんとして生まれてきています。
外側はヘラで彫り付けた筋に上から刷毛を施した意匠、表面の釉薬は滑らかに融けて好ましい質感です。
またこの手はちょっと頼りない高台が多いものですが、こちらは手ごわい畳付きの造形ですね。高台内に目痕四つ、やや集中して付けています。
平茶碗は普通のお茶わんよりなおいっそう重心が大事になってくるものですが、これは普通の高台よりも厚く強く作られていますので、お茶をいただくときにぐらつくような不安感もなく気持ちよくお使いいただけます。
さっそく点ててみましたがいい風情でしたよ。
ぜひお手許で確かめてみてください。
口径17.1 高さ6.5~6.7センチ
朝鮮時代前期
時代箱に収められています。絹の包み布と木綿の花紋様の風呂敷が添っています。
口縁部に金繕いが2か所、ニュウが2本ありました。高台を囲むようにニュウがありますが、これは表側の釉層と素地の表面にあるだけで、素地の反対側には通っていませんでした。
画像に出てくる敷板や盆は付属しませんのでご了承ください。
御売約ありがとうございます。 |
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