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平福百穂「寒汀宿雁図」
紙本 淡彩 共箱 岩波書店「平福百穂画集」所載
174×94㎝ / 235×115㎝
平福百穂は明治から昭和初期にかけて活躍した秋田出身の日本画家で、写実性の高い自然主義的な作品を多く描きました。動物画の中でも鳥についてはとくに熱心に研究したといわれており、実際に鴨や七面鳥を飼い観察したのだとか。
本作は岩波書店「平福百穂画集」所載の一品。冬の水辺に羽を休める雁の一群が描かれています。没骨法と墨の濃淡によって雁の姿を的確に捉えており、構図の妙が自然主義の画風に独特の装飾性を加えています。その表現は代表作のひとつである「鴨」(東京大正博覧会出品)にも通じるものであり、アララギ派の歌人でもあった百穂の叙情的な絵画世界を堪能できる優品です。 |
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