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    桃山時代の古唐津茶碗「松風」です。 
器に、燃えるような夕焼けの赤が映え、夕焼けへ刻々と映り行くような、景色の変化が魅惑的な茶碗です。 
艶やかに輝く、しっとりとした潤いのある肌は、使われて来た歴史が刻み込まれ、愛玩されて来た時代の重みが感じられます。 
炎と陶人と、使い伝え続けて来た茶人達が作り出した豊かな景色です。 
高台の畳つきの部分は滑らかになっており、茶碗が使われて来た時の永さを表しています。 
竹節となっている三日月高台の姿も趣きがあり、張りのある、はち切れるような力強い碗形の造形です。 
器は、華やかな中にも、しみじみとした味わい深い様相を呈しています。 
お茶の緑が美しく映える茶碗です。 
 
■銘の「松風」は、能楽作品の一つであり、成立は室町時代で、観阿弥のオリジナルを世阿弥が改修したと考えられている、須磨に流された貴公子と海人との深交を記した『撰集抄』・『源氏物語』の説話、及び『古今和歌集』の在原行平の歌を元にした秋の曲である『松風』(まつかぜ)からとったものでしょうか? 
 
矢印A・B・Cの部分は、一見ニュウに見えますが窯キズです。矢印D部分に金繕いが施されています。窯キズはキズとは見なされません。いずれも景色の中に溶け込み、景色の一部となっています。水漏れはありません。 
 
口辺の直径110mm×高さ64mm 
 
ご売約ありがとうございます。 | 
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