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小林 古径「馬郎婦」
絹本 着色 共箱 東美鑑定証書
129×42㎝ / 220×56㎝
大正から昭和に活躍した小林古径は、近代日本画を新古典主義という新境地に導いた画家のひとりです。画題の馬郎婦とは中国唐代の伝承で、仏教を広めるため女性の姿を借りて現世に姿を現したとする観音のこと。大正15年頃に描かれた本作の類品が東京国立近代美術館に収蔵されています。本作では古径の芸術性を象徴する清澄な「線の美」が随所に見られ、艶やかな黒髪や衣の表現は圧巻です。格調高い描線、そして慈愛に満ちた馬郎婦の表情からは、女性の優美さと観音の神聖さの双方を余すところなく描かんとした古径の真摯な情熱が伝わってきます。
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