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古民藝の中で特に木のものは重要なジャンルの一つでありますが、またその中で民具とこの厨子のような民間信仰遺品とに分かれるものであります。(もちろん両者を区別せずおあつめになられる方もいらっしゃいますが・・)
特に個人的な話しで云えば、昔からこの民間信仰と云うものに強く関心がありました。最初は民衆仏のでたらめの造形だったり、煤けた質感に興味を覚えたのがきっかけではありました。今もそんなものたちが好きではありますが。
今はもうそんな状況ではありませんが、おそらく高度成長期の昭和30年代、オイルショックを挟んでのバブルに向かう昭和50年代など、多くの田舎家が取り壊されたりしてそこからまだ市場に出たのは運のいい方、ほとんどのこうした民間信仰遺品や古民具などは廃棄処分の憂き目に遭ってきたかと思います。
そんなところから免れてポツンと一つ残ってきたこの厨子。よくぞ御無事でと声を思わずかけてしまいそうです。
小さな道具箱のようにも見えるのですが、上部の幔幕状の造形が信仰のものという匂いを漂わせます。実際にかなり丁寧に作られていて、大工や指物師の仕事かもしれません。家屋の建築を請け負った大工が片手間にこんなものを製作するのも大いにあったでしょうから。
囲炉裏端で祀られていたとみえて煤をたっぷりと被っています。中は木地そのままできれいな状態ですから、経験上この中には紙の護符が収められていたように思われます。
今は中身は無いので何とも言えませんが想像するのは愉しいもの。そしてこの愛らしいサイズ感が一番の肝でしょうか。手のひらの上に乗る小さな厨子、どうぞお手許で愉しんでみて下さい。
高さ16.7 巾9.2 奥行7.2センチ
江戸~明治頃
特に傷みはありません。
御売約ありがとうございます。 |
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