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ちょっと井戸的な要素もあって単なる堅手茶碗と呼ぶには言葉の役不足の感もありますが皆さんはどうご覧になって頂けるでしょうか。
もちろん世の中に井戸茶碗と呼ばれるものは存在しているのは確かですが、市場に出てくる可能性は極端に低く、ネットで簡単に探せるようなものでもありませんね。それで井戸脇なる珍妙な言葉も生まれてきたわけですが、それらも古くからの伝世品以外に見つかるのはほぼ皆無であります。ですから勝手な呼び方はやはり控えるべきでありましょうね。
しかし呼称はともかく置いといて、その味の良さ、景色の良さに注目して探してみるとこんな佳品に出会えるというのがありがたいところ、手前味噌ながら云ってしまいますが。
高麗茶碗の典型的な形、すなわち端反りで見込みが深く落ち込み目跡で囲まれた部分が鏡になっています。高台は太く力強く削り出されて竹の節。造形的にお茶わんの王道と云ったところです。
プツプツと空いたピンホールや貫入に染みた味、釉薬の溜まりの厚いところが碧く光る好ましい質感ですね。
井戸的な要素と云いましたがそれが如実に表れる高台際、釉薬が縮れて梅花皮状になっています。高台内側には兎巾がしっかりと立って、ここにも釉薬がチリチリと景色を作っています。
口縁に素地が表れている部分はどうも陶工の指痕のようで、ここをつかんで釉薬にどっぷりと付けたのでしょう。その結果総釉掛けになっています。
これほどお茶が映えるのも近頃なかなか買えませんでしたので、手許に競り落としてきたときはうれしく早速お茶を一服頂いてみました。
最後の画像でご覧頂けるように、濡らすとさらにこの膚が生き生きとして堪らないもの、ぜひ次にお使いになられる方にも美味しいお茶と共にお愉しみ頂きたいと思います。
口径15.2 高さ7.1~7.3センチ
朝鮮時代前期
印籠蓋の上手な桐箱に収められ、更紗のお仕覆と共布の柱が誂えられています。そして古布の木綿風呂敷に包まれています。
無疵です。
詳細はお問い合わせください。
桐箱の紐が一部傷んでいますが、現状はそっと結べば収納には問題ないかと思います。もちろんお好みの真田紐に変えて頂くのもありかと思います。
御売約ありがとうございます。 |
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