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火打ち箱とは、昔マッチもライターも無い時代は火をつけるのもそうそう簡単には行かず、金属と長石のような花崗岩由来の硬い石を擦るようにして火花を出し、それを綿や木くずに向けて発火させてから必要な場所に移して熾していました。
その道具を入れた小箱なのだと思いそのように表記していますが、それにしては小さいのでまた別の用途もあるのかもしれません。通常見かけるのは二か所に区分けされたもので、そこに上述の道具と火種になる麻や綿を入れたもので、もう少し大きいものばかりでした。
単純に付け木などを入れた箱かもと考えましたが、それも通常は状差しなどと共通する形だし、なんとも悩ましいものではあります。
さてくどくど書いてきましたが、なんと云っても今は火をつけるのに使うわけでもなし、なんで買ったのかと云えばカワイイからでありますね。
単なる木っ端と云えばその通りですが、ご覧になって頂ければこの愛らしさ、そして木のもの好きの方には堪らない質感になっています。むしろ通常見かけるそれより小さい分より目が惹き付けられてしまいます。
おとしを使って花を活ける舟形花器のような感覚で使ってもいいんでしょうが、まず何しろ眺めて、手で撫でさすって愉しみたいものですね。
見込みや側面の斫り痕など、共感して下さるお客様のお手許に収まれば嬉しく思います。
長さ14.3 奥行8.6 高さ5.3センチ
江戸~明治時代頃
御売約ありがとうございました。 |
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