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慶長七年開窯、釜ノ口窯(1602~1632)の筒茶碗。
枇杷色がかった青磁釉の深い色味が独特な‘灰釉青磁’と呼ばれる、特有の釉薬が使用されており、高台内までの総釉・撥高台であることも同窯の特徴です。
帰化陶工がそのままロクロをひいた(蹴った)ような素直な筒形に、単純な鉄絵輪線、手取りはズシリと重く古格を感じさせます。
同手のものが、古い本には「古唐津」として紹介されております(11枚目の画像参照)。
誤認ながらも、釜ノ口窯の発掘調査が行われた時期(1955年)を考慮すれば、致し方ない事。
類例の少ないもの(幸運にも、数年前にひと回り大ぶりな同意匠の筒を扱いましたが)で、ニュウ一本のみと状態もよく、これからの季節にも重宝する器形。
同時代の唐津陶などと比較すれば、一部の物を除き(割山椒向付等)、まだまだ安価ながらも魅力においては全く遜色ない、桃山陶・古上野の佳碗をお愉しみ頂ければと思います。
同手の筒を(二点とも同一品)参照画像として添付致しました。
伝世
口径 9cm
高さ 8.8cm
桃山時代/箱・仕覆付
参照画像・・・「茶陶唐津」徳間書店 p36 「国焼茶陶 上野焼展」赤池町発行 p21
早々のご売約、ありがとうございました。 |
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