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南都七大寺式鬼瓦(*)は8世紀を中心として第一期から第五期に区分されますが、本作は第四期(8世紀後半)に該当すると思われる作品です。同范の鬼瓦が奈良の諸大寺から出土しておりますので一概にはいえませんが、塁座の付き方(間隔)や眉間のふくらみ等から大安寺にもっとも近しい、と判断しております。
本品は掘り出されたオリジナルのまま、台座を誂えて鑑賞しやすくしました(台座と瓦は取り外しが可能です)。上右半分の残欠とはいえ、天平の風薫る南都七大寺式鬼瓦の実物をお持ちいただけることは仕合せなことだと思います。
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畿内とその周辺の諸寺院からは、平城宮式鬼瓦と様相を異にする古代の鬼面文鬼瓦が出土している。いずれも相似た形相を呈す。(中略)南都七大寺式鬼瓦は、寺院によって、また、時期によって若干の差異があるが、いずれも顔面のみをあらわし、団栗眼に獅子鼻で、大きく開いた口の下顎下端・下歯を欠くのが特徴である。外形はアーチ状で、外縁にそって珠文をめぐらす。文様は范型からおこし、例外はあるが、固定装置として背面に縦位の把手をつくる。
残存幅 180×220mm
台座 240mm(幅) 85mm(高) 120mm(奥行)
附/台座
奈良時代(8世紀)
◎御約定:ありがとうございました!
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