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風招 葛西四雄
海沿いの道
 

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不思議な事にこの夏前にも葛西の同じ構図・同じタイトルの絵を扱いましたが、前回のは4号・今回は10号。最初観た時、あれっ同じ絵?と思った程ですが、構図は同じでも大きさが倍も違えば当然迫力も書き込みの緻密さもだいぶ違います。

さて葛西は青森県出身で『北国の漁村に鈍色の海と赤い屋根』をメインテーマに描いていた人。雪深い漁村に雪の積もっていない赤い屋根!?とはいささか違和感はあるが絵は所詮フィクションの世界。
先日絵の好きなお客さんと話していたら、画商から「赤い屋根を沢山、黒い海の割合を多く」描くように指図されていたんじゃないか?と仰っていたが、私も同感。音楽でもプロモーターはやれアノ曲を入れろ!!この曲を演れ!要は売れるモノを作る事を求められる。古今東西そうした事は枚挙に暇がない。

しかし葛西の中でもこの絵からはそうした注文による惰性を感じない。まだ自らの意志でこの構図を構築した気がする。裏には示現会会員と書かれている事からも日展会員となる以前と考えられ、前作とか早描きと云われるモノが持つ溌剌とした覇気を感じる。

海はほんの少ししか描かれていないのに海辺である事を強く感じさせ、奥に向かって歩く人(画面中央)の前傾具合からは海から吹いて来る風を感じさせる。北の海をよく知る人にしか描けない描写のように思う。
赤い屋根の家はまだ奥に一軒だけ(次第に何軒も描くようになる)で、視線は自然と道沿いに手前から奥へと向かう。その画面全体にヘラを使っているように見えるが、道の部分は指で均して人が踏みならした状態を巧みに表現している。

ところでこの人のどの経歴を見ても渡航歴は書いてないし、ヴラマンクがどうのこうのとはどこにも書いてないがどうしても構図にもマチエールにもヴラマンクへの強い憧憬、又は傾倒を感じてしまう。
それにしてもこの10号にはやっぱり力が入っていて、なにか東北人の気骨のようなものさえ感じる。


◆ 絵 幅:53cm、高さ:45.5cm。
  額 幅:75.5cm、高さ:68cm。

【葛西四雄】
1925〜1990年(享年64)
青森県南津軽郡生まれ。奈良岡正夫に師事。
1962年 示現会展奨励賞受賞、翌年同会会員に推挙される。
71年『北の漁村』、78年『北の浜』で二度に渡り日展特選。85年 日展会員に推挙された。
後年 示現会理事を務め、デパート等での個展多数。
 


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