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18世紀の素晴らしいパナリ焼壺をご紹介します。パナリ焼とは今から200年前に沖縄県の八重山諸島の新城(あらぐすく)島で焼成された素焼きの土器です。パナリ焼きは島内の日常生活の為の雑器として専ら製作されていたようで、決して高い技術も芸術性も無いのですが、その原始的で素朴な力強さと魅力は多くの人の心を掴んで離しません。
「パナリ」の語源は新城島が離れ島だったのを「離れ→はなれ→ハナレ→パナリ」と訛ったのが語源だと言われています。人口も少ない小さな島だった為、18世紀という割と最近までこのような土器を焼いていたということからも、島内の生活は自給自足のような形で賄っていたのだと思います。
このパナリ焼の壺は本来、米や穀物を入れる貯蔵容器として製作され、その所有者が死んだ後に洗骨した骨を入れる骨壺に転用されることもありました。その場合、底面部分に雨水を抜く穴が意図的に開けられている場合が多く、本作にも底面に穴を埋めた跡が見受けられます。しかしながらほとんどのパナリ焼には底に穴がありますので、必ずしもそうで無いのかもしれません。
この新城島は石原慎太郎の「秘祭」でもモデルとなっていますが「神の島」であり、部外者が安易に立ち入ると災いがもたらされると言われる神秘的な神事を重んじる特徴的な島であり、それもあって外部との接触を極力避けていたのかもしれません。何とも言えない非常に神秘的なパワーを感じる作品です。
パナリは100個以上見てきましたが、本作は大振りで姿形が良く、窯印もありパナリの中でも上位ランクの素晴らしいパナリ作品です。パナリ焼自体希少なものですが、その中でも本作は上位ランクに属する良い作品です。無いものなので価格もお高めですが、良いパナリをお探しの方にはお勧めできる作品です。
時代:18世紀
産地:新城島
寸法:高さ約27.3cm 口径16cm 胴径30cm
状態:胴と底に穴埋めあり(色が円形に変色している部分です)
口に小さな欠けが複数あり(画像参照)
次第:桐箱
ご売約ありがとうございます |
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