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朝鮮陶磁の多様な世界の中で、どなたもがその愛らしさに相好を崩すこの水滴の世界。それはつまり手に取って触って玩んで愉しめるから、というのが大きいでしょうね。もちろん鑑賞陶磁のように気高く崇高な、とでも呼ぶような神品の世界は素晴らしいものではありますが、それとは全く違う魅力がある世界と思います。
毎日のハードワークを終えて自宅の一室でくつろぐとき、そう美味しいお酒やお茶など脇に置いて好きな本を読む、音楽を聴く、そんなことと同じように触れて愉しんで癒されていくのがこの水滴たちと思います。
扇面に造形されて、そこに染付の技法で山水文、周りは唐草文を配しています。清廉な高士が遊ぶ桃源郷がそこにあり、現実はともかく空想の世界に遊べるがいいですね。
参考画像は画像中にもある日本民藝館所蔵の同手です。
硯の池に水を入れるのにこんな水滴を使うのは、それこそ今はやりの不要不急ではあります。しかしいろんな厳しい環境であっても、いやむしろ厳しい時代だからこその必要不可欠な世界がアートや音楽や演劇、映画、まあ枚挙に暇がないですが、これらのジャンル。
その一つに古陶磁の愉しみというのも大いに入ってくるでしょう。そのために我々ご紹介する立場の人間は一層襟を正して精進しなければと考えます。
机の片隅にひとつ置いてやって頂きたいと思います。
横8.0センチ 高さ2.2センチ
朝鮮時代後期 19世紀頃
注ぎ口の部分にごく薄い削げがあります。また使用擦れも全体にありました。
御売約ありがとうございます。 |
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