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コプト織は、エジプトの墓地から埋葬布として見つかるものが多いですが、当時は衣服やカーテン、テーブルクロスなど日常使いするものから教会装飾に至るまで様々な所で使用されていました。
馬に乗る人物の頭部には後光が差しており、手に持っているのは盾と思われます。騎馬人物のモチーフは織物だけでなくアクセサリーなどにも用いられ、天使を伴ったものや、蛇・悪魔を退治するものなど、悪いものから身を守る魔除けの意味もあったようです。特に、すっと伸びた手の繊細な表現は素晴らしく、この時代の美意識の片鱗が感じられるようです。イスラム統治の時代になると偶像と見做されることを懸念し、人物が登場することは少なくなります。しばらく眺めていると織物であることを忘れてしまいそうになるような魅力があります。魅力的な表現とコンディションを備えた、稀少なコプト裂です。
時代:4-8世紀
額:24.5cm x 24.5cm
裂の全長13.5㎝ 裂の中央部:7.5cm x 7cm
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