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金工の作品は偶然性に頼らない分、職人の技巧や精神性が顕在化するため「鑑賞」がより深く、甘くならないのが魅力です。中でも水滴は用の道具ゆえ様々な意匠が制作されてきました。本作は把手や注ぎ口にやや形式化が認められるものの、ずんぐりとした身のボリューム感やおおらかに配された蔦の意匠等に文禄〜慶長期の風を感じさせます。密教法具に近しい気韻をも具有しているように思うのは身贔屓でしょうか。
無瑕完好。もちろん実用可能です。鑑賞する点では「鍍金があれば」と思いますが、元より鍍金を施していないタイプのようです。同范ではありませんが形式の似た水滴が図録(*1)に見つかりましたので掲出いたします。
長径 73mm
高 60mm
付属品:なし
江戸初期
*1 『水滴Ⅱ —銅の造形— 潜淵コレクション』 渡邊 潜淵 編
◎御約定:ありがとうございました。
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