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15−16世紀に朝鮮で焼成された李朝三島馬上杯です。とても魅力的な作品ですが、特筆すべき魅力が三点あります。それは下記の三点です。
1、たっぷりとした深さのある杯の型
2、非常に良く焼成され光沢のある艶やかな肌合い
3、溌剌とした珍しい彫文様
まず、やはり馬上杯という形状ですから、杯に使えるかどうかは非常に大きな問題になります。本作はとてもたっぷりとした深さとサイズがあるので、まさに杯に最適なサイズになっています。具体的な容量で言いますと80〜100ccが余裕を持って入ります。ギリギリまで注げば140cc入るサイズ感で、これは酒器として最適なサイズと言えます。
次に焼成と肌合いについて。本作は15−16世紀に焼成された作品で、今から500−600年程前に製作された作品です。本作は、いわゆる「発掘伝世品」で、土中から発掘された作品を旧蔵者様が長年に渡り、大切に使用して来たものです。相当長い間大切に使われて来たようで、非常に良く育っています。
通常、発掘品は表面の肌合いが荒れていたり、カセていたり、土臭さがある作品が大半ですが、本作は焼成が完璧にカチカチに焼き上がっているため、土臭さもカセも荒れもほとんどありません。非常に素晴らしい光沢と堅牢さがあります。伝世品と見まごうばかりの美しい肌合いで、100点満点中90点以上だと保証できます。
最後に、本作を一際特別な作品にしているのは、この外周の龍の鱗のような非常に珍しい彫文様です。内面の飛び鉋文様は通常良くありますが、外周のこの葡萄のような、鱗のような文様は極めて珍しいものです。とても大胆で、とても可愛らしく、とても特別です。また、内面四本、外面三本、ぐるりと溝が彫り込まれており、なかなか手が込んでおります。この一手間がある作品はまさしく当時の特別作品であります。
他にも安定感のある自立した立ち姿、ちょっと傾いてる様子がダンスしているみたいでかわいいとか、高台づくりがシャープであるとか、茎の部分がとても美しく形作られているとか、褒めるべき要素はまだまだあるのですが、上記の三点が特に白眉であった点が私が仕入に至った魅力でした。
ありそうな作品ですが、全然違います。滅多にない作品でしょう。まだまだ育つと思います。茎を指の股に挟んで持てますので、非常に強いホールド感もあります。実に愉しい酒器です。優れた馬上杯は希少なので、コレクションに加えるに相応しい逸品だと思います。
産地:朝鮮
時代:15−16世紀
寸法:口径約11.2cm 高さ7.5cm 底径3.2cm
状態:口縁に金直し三ヵ所(1.5cm、1.3cm、8mm)
次第;時代桐箱
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