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幻とも言える紀元前の中国の漆器です。本作品は今から約2000年以上前、戦国時代から前漢時代に制作された漆器の耳盃です。当時は、飲み物を呑むために用いられていました。通常はもっとシンプルな文様装飾、もしくは無文が大半なのですが、本作は黒漆の本体に多色の色漆を用いて、伸びやかに跳躍する鹿をメインモチーフに描き出しています。その周囲をダイナミズムに溢れ、鬼気迫るとも言える鮮やかな紅の幾何学文が彩り、破綻の無いそのデザイン性には神々しさを感じます。
極細の面相筆を用いて一息に描き出されたそのラインは鋭く、迷いが一切無く、躍動感に満ちています。紙に筆で描くならまだしも、漆で失敗の許されない漆器の上に一息に描くのです。信じられないほどの緊張感に満ち満ちています。紀元前の呪術的な魔性、人知を超えた圧倒的なパワーとエネルギーに息を呑む作品です。
なんという絵画性、なんという卓越の技術、2000年以上耐久する漆の精製技術。全てが奇跡的です。本作も残念ながら朽ちています。私が最初に購入した12年前は完全な姿でしたが、3年前に見た時にはこの姿になっていました。しかし、それから3年そのままなので、乾燥は完全に終わりました。これ以上朽ちる事はありません。朽ちてしまった事は残念ですが、十年もの時が本作の真性を証明してくれました。
廃れの美と言いますが、本作は朽ちてなお美しい。若々しい完全な姿の時よりも、今の方が美しいと嘘でなく思える程に美しい作品です。参考資料とも言えますが、鑑賞に耐える美術作品だと私は思います。
産地:中国
時代:戦国ー漢時代
寸法:縦横約13、5cm×10、2cm 高さ4、1cm
状態:画像の通り
次第:桐箱
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