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古丹波杯としては珍しく、侘びた風情。それもそのはず、奈良の名高い数奇者であった河瀬洋三氏(*1)の旧什。見込みの白い釉流れや酒を呑んだ伝世膚は、まるで晩年の氏の佇まいを見ているかのよう。蓋裏に氏の手で「珍」と書かれておりますが、確かにここまで小さく愛らしい丹波杯にはなかなか出会えません。
口縁に白漆による直しがありますが極めて自然で違和感なく。断文のでた根来盆に小さな猿投徳利を添えて、というシチュエーションに似合う古丹波杯の佳品です。
*1 河瀬洋三 奈良市清水町にて「道具屋河瀬」を営み乍ら、仏教美術や侘茶道具の目利きとして昭和の古美術界を牽引。奈良に河瀬あり、と全国からの古美術詣では奈良のよき一駒であった。故人。奈良の大茶人、河瀬虎三郎氏の御子息。
径 73mm
高 25mm
付属品:桐識箱、中綿入包布、風呂敷
江戸中後期
◎御約定:早々ありがとうございます。 |
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