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一見堅手徳利のようにも見えますが、薄く化粧土が施されています。きっと作業途中で使っていた白泥が無くなってしまったけれど、そのままある分だけで薄く掛けたというやっつけ仕事だったんでしょう。刷毛目はもちろん濃い方が好まれるわけですが、さりとてこんなバランスのいい使い頃の徳利を見捨ててもおけないと思わず買ってしまいました。
まずその手取りの良さ、下膨れの手のひらに馴染むかたちで気持ちよくフィットします。頸部の穴の大きさも程よく、いい音を聞かせてくれます。容量は一合五勺、高台のバランスもよく気持ちよく使えるという言葉がぴったりの酒器です。
胴の下の部分、轆轤目のような陰刻のようなヘラが入っていますね。はっきりと文様を付けるつもりではないようですがヘラが軽く当たって一部が輪線のようになっているのが愉しい所です。
酒を擦り付けながら育てていく徳利好きは多いと思います。これも時間はかかるでしょうがその分気長に育てていって頂きたい一品ですね。
裸で出てきましたので杉箱を誂え、手許の布を包布として添えました。支度次第を整えたので、例えば出先で使うのもまたいいんじゃないでしょうか。
今日あたりはだいぶ春めいてきました。春宵一刻値千金、季節の肴でいいお酒を美味しく頂きたい、そんなときにどうぞ使ってください。
高さ13.4センチ 胴径9.0センチ
朝鮮時代前期頃
杉箱に収められています。
口縁の約半分ほどの部分、燻銀の丁寧な繕いが施されています。
御売約ありがとうございます。
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