|
牙蓋が添えられ替茶器の仕立てとなっておりますが、本来は香炉です。火屋を仕立てれば香炉として用を弁じてくれますが、その手馴染みのよさに「これは呑める」と直感。いざ試してみると、たまたま飲み口の部分は煙返しが薄くストレスなく液体が喉を通りました。もちろん中まで釉が厚く掛かり、いやな匂いもありません。秦秀雄『珍品堂 骨董の旅』の中に登場する随筆「織部松の絵香炉」を想い、青山二郎旧蔵の唐津筒杯「虫歯」を彷彿とさせる、と書くのは欲目でしょうか。
口縁の欠けと底部のソゲに金直し。口縁からのびる深めのニュウはきっちり止められており漏れもありません。また絵付に若干の補色がありますが嫌味なく、そのままお送りします。疵は大きいのですが、欠点を補ってなお余りある美濃古作の佳品です。
高 90mm(含牙蓋)
幅 80mm(口径 55mm)
付属品:桐箱、御物袋
桃山〜江戸初期(17世紀)
◎早々の御売約ありがとうございます。 |
|