|  | 李朝時代前期の粉引茶碗です。 
 歌舞伎の市川猿之助氏が所有されていたもので、淡交社から出版された、氏の骨董エッセイ集とも言える著書「猿の眼」に掲載されている品です。
 
 粉引特有の白に包まれた柔らかな質感に、使い込まれてできた深みのある古色が、茶碗の景色に陰影と深みを与えています。粉引ならでは味わいです。
 器を横から眺めた時のわずかに膨らみをおびたシルエットの形が、優しく繊細な変化を表し、端整な凛とした形となっています。
 猿之助氏の著書では粉引平茶碗となっていますが、これだけの、見込みの深さがあれば平茶碗とは言えないと思います。見込みは深いです。
 歌舞伎役者が「見えを切った」時のような堂々とした貫禄のある器です。
 
 華を感じさせる茶碗ですので、お茶を楽しむ時間を明るく華やいだものにしてくれます。
 お茶の緑も映え、美味しいお茶が頂けます。
 
 粉引とは、釉調があたかも粉をはいたような風情があるところから粉吹とも言われます。
 かなりきめの粗い陶胎を白泥の桶にずぶりと浸け込んで化粧掛けするところに特色があり、これを素焼きして、さらに透明釉を掛けて高火度の還元炎で焼成しています。
 粉引の作品は、日本では人気が高く、茶碗でも珍重されています。
 
 口辺部分の透明釉が永年の使用により失われ、下の白土に古色が浸み込んでいる箇所がある他は、ニュウ・カケ等ありません。
 
 商品とともに、掲載されている本「猿の眼」も、一緒にお送りします。
 
 口辺の直径178mm×高さ71mm
 
 ご売約ありがとうございます。
 
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