|
骨董界ではいつの時代も「昨今は良いモノがなくなった」と嘆かれるのが常です。もちろんその通りには違いないのですが、嘆いてばかりいても詮方ないこと。ではどうするか?やはり視点を変える…と云うか視野を広く持つ、従来の固定観念に捕われない、といったところでしょうか?
閑話休題、そうして見渡してみれば世の中にはまだまだ見た事もない興味深いモノが眠っていると云う好例がこの牛の像。買い出し人の話によれば山形は米沢からの初荷とのこと。おそらくは天神の使いの牛と考えられ、額の宝珠もそれを物語っています。調べてみると米沢にもいくつかの天神社はありますが、その内のどこかから出たと云うような確証はありません。それにしても石の臥牛や小さな木彫の撫で牛ならままあるものの、これほど大きな木彫の臥牛は誰も見たことがないようです。
ともかくもこの比類なき造形力と愛情溢れる眼差しを各画像でとくとご覧ください!常々思うにあらゆる絵画や工芸の世界で、明治以降の著名な作家作品を遥かに凌駕する作品が、江戸時代以前には無名の職人の手により数限りなく生み出されている訳で、本作も正に素晴らしい力量の持ち主による作と思います。
また全体 黒漆塗りの中に朱漆(耳内・口内・陰部)、金泥(眼・宝珠・鼻・背骨・尻尾)が非常に効果的に使われている点にもご注目ください。因みにこの子は牝牛のようですね。
◆ 幅:60cm。高さ:40cm。奥行き:29cm。江戸時代。手取りはかなりズッシリ、材は分かりませんが、堅木のようです。角以外は一木から彫り出されており、角は差し込み式で、右の角は外れます。
なお天神と牛の関わり・由来に関しては諸説あり、書くと長くなるのでご興味ある方はこちらをご参照ください。
http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000156507
http://koktok.web.fc2.com/hom_page/sekibutu/zatsu/tenjin.htm
・恐れ入りますが、お値段等はお電話にてお問い合わせくださいませ。 090-4450-8127 又は 03-3563-5311
◉ ご売約となりました。ありがとうございました。
|
|