|
【沿革】欧米ではコレクターズ・アイテムとしての地位を得ているペルシャのタイル…本品もフランス人老婦人のコレクションだった品ですが、日本ではまだまだ認知度の低いものです。かく言う私も、大らかな画の面白さや色の鮮やかさ美しさに惹かれ求めたものの、調べようにも資料も少なく、正直しばらくは年代も背景も分からない状態でした。が、じっくり持っている間に、知見のあるご同業やペルシア陶器/ラスター彩の研究をしている方と出会い見解を伺ったりする内、徐々に沿革が見えて来ました。
【時代】思ったより古く、見解を総合すると12c〜15c辺り。やや幅がありますが、皆さんが口を揃えるのは何と云っても、とても高価な顔料であるラピスラズリによる いわゆるペルシャンブルー(Persian blue) が用いられている事。時代が下るとこの美しい色が出なくなるそうで、18cに入ると今度は化学染料のプルシアンブルー(Prussian blue)=和名[ベロ藍]が出現し、天然顔料に取って替わります。本品の[青]はそのラピスラズリの[碧]であり、わずかに鳥・ブーツ・鞍の一部のみに用いられている事からも貴重な顔料であることが伺えます。
【彩色】その他の色は画像では判別しにくいと思うので敢えて書きますが、人物の衣服・頭上の界線の[水色]、その界線の上(タイル上部)・馬の鼻面・左前足・尻尾の[茶色]、ターバン・馬蹄の[灰青色]、鞍の一部・脇差しの柄の[パステルグリーン]、鳥の羽の前部・嘴・人物胸元のVゾーンの[黄色]、襟元・鳥の羽の後部の[淡いピンク]、そして馬のボディのあるかないかの微かな[オパール色](淡緑) 等々、ざっと見ても8色を使い分ける繊細さ。
【凹凸】そして色以外で見落としてはならない点は人物・鳥・馬の部分が凸状になっていること。これにより絵そのものにメリハリが出ています。画像で凹凸が判り易いように同じカットでも照明の方向を変えて撮影してみましたので ご確認ください。
◆ 高さ:23,7cm、幅:17cm。
◉ ご売約となりました。ありがとうございました。
|
|