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かつて六古窯のひとつに数えられ、瀬戸内の海上交通を利用して各地に運ばれて、その商圏を拡大した中世古窯の雄、備前のうずくまるサイズの壺です。
山土を使っている時代ではありますが、よくよくこなれたねっとりとした土味が、高い温度で焼かれたこともあり、つやっぽく光っています。肩には灰釉気味の緑が混じった黄胡麻が降りかかり見事な景色です。どっしりとした形姿は大壺にも負けないくらいの存在感とフォルムの美しさを感じさせてくれます。
高台にも釉が付着したように見えるのは、灰が撒かれていたためのようですね、そしてうっすらとではありますが下駄印のような凹凸も見られます。胴には成形時の撫で付けた筋がいくつもありアクセントになっています。
今ではたっぷりしたサイズのように思われますが、桃山から江戸の茶事においてはかなり大型の花生も掛花にするために金具用の穴を穿たれていますので、むしろこれくらいは小さい方かもしれません。古い金具は朽ちてしまったようでやや新しいものに変えていますが固定されていないようです。固着させて漆で覆うことも可能ですが、金具を取ってしまいたい方もいらっしゃるでしょうから、この部分は個々のお客様のお好みにお任せしたいと思います。固定して掛花用にとおっしゃる方はご相談ください。(納期に1か月ほど掛かるのはご了承ください。)
備前研究の第一人者だった桂又三郎さんの箱書きが付いています。
夏の暑い盛りにもなにか瑞々しく爽やかな花を投げ入れれば、床の間にサッと涼風が吹く、そんな
花をお愉しみ頂ければと思います。
口径8.3センチ 胴径13.1センチ 高さ13.8センチ
室町時代初期
口縁に2か所、欠損を共色に繕っています。
御売約ありがとうございます。 |
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