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新羅土器のイメージというと、唐の影響を受けた厳しくシャープで金属器のような造形といったことかと思いますが、そこはそれ、朝鮮民族のおおらかな一面がにじみ出たようなこんなかたちのものもあるんですね、須恵器の源流のこの土器、すでにわれわれの心根に近いようなものが内包されているかと思います。
蓋がもともとあるタイプですが、それはなくなってしまっています。胴に区画線を入れて間に波状文を入れているのはお約束です。例のごとくカリッと高温で焼かれていて、つやつやとした膚が堅牢で、その上に暗緑色の自然釉が美しく光っています。
このかたちはわりと見かけるもののように思いますが、なんでこんなに愛らしいイメージなのか、と
考えると端反りがきつくないからでしょうね。筒に近いかたちで裾がわずかにぷくっと膨らんでいるのが微笑ましくもあります。そして小さく手の上に乗るようなサイズ感もまたそう思わせる要因でしょうか。
味のいい小机などの上で野花を投げ入れて愉しまれては如何でしょうか。底がフラットに造形されて
いるので安定しています。
高さ14.5センチ 胴径10.8センチ
朝鮮 新羅時代
箱はありません。
口縁部分に火ぶくれが割れた部分がありました。その他ごく小さな削げが口縁に、胴に2センチほどのひっつき痕がありますが、特に気になるレベルではないかと思います。堅牢に焼かれていますので水も直接中に入れてお愉しみ頂けます。 |
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