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伝世の絵堅手塩餉茶碗です。豊かに膨らんだ柔らかな膚は、茶を喫するために生まれてきたような雅味を漂わせており、禅定力に富んだ鉄絵の柳線も素晴らしく、同手作品中では出色と思います。書付等は御座いませんが、李朝文物のコレクションで名を馳せる出羽桜美術館旧蔵の品。出羽桜酒造の仲野清次郎氏が足繁く通われた大阪老松町の古美術店で購われたものですが、館蔵品整理の際「古唐津と間違えて」戻されたものを旧蔵者が購入したのだそうです。
無疵完好。大海茶入にも見立てられたか、銘木の蓋が付属しております。引っかかりのない伝世味に優れた膚は、湯が注がれると掌にじんわりと温かみが伝わり、茶を喫した後の深い悦は正に「たまらぬもの」でしょう。ひときわ寒さが身に凍みる時節に真向きの一碗かと存じます。
高 70mm
幅 95mm(口径 73mm)
塗り箱(桐)、包み裂、銘木蓋付
17世紀
◎早々の御約定ありがとうございます。
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