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唐津の愉しさにはいろいろと種類があると思います。例えば水に濡らしたときの釉薬の表情や、さまざまな器種の多彩さ、そしてこの絵唐津と呼ばれる素朴ながら豪放な鉄絵の面白さでしょうか。
陶片ながら絵付けの愉しさが存分に味わえる大ぶりな陶片です。完器ならばなかなかに大きく豪快なうつわであったでしょう。もちろんその完器であれば文句のないところでしょうが、こと唐津に関してはこんな陶片でも絵付けが愉しめるものです。
古くは星岡茶寮で魯山人の陶片資料を見ることが出来たり、名古屋の森川如春庵の陶片コレクションがまた素晴らしいものであったと思います。(森川さんのコレクションは名古屋という土地柄で美濃ものが多かったようですが・・)また陶芸家の石黒宗麿さんのお持ちだった絵唐津の陶片など、当時ものすごく高価な値段で取引されたものでした。要するにやきもの数寄であれば誰しもが陶片と云えども蔑まず、美しさに注目したということでしょうね。
今回は2点、小山路(内田皿屋と呼ぶ場合もありますが)の柳のような枝垂桜のような絵のものがひとつ。この絵付けのセンス、まったくもって朝鮮陶工の絵そのままですね。そしてもうひとつは甕屋の谷の陶片、割れ口にまたがっているのでわかりにくいかもしれませんが、こちらは松を描いていますね。まったく同手の筆運びの大皿が出光美術館にあったかと思います。
資料としては勿論のこと、絵付けを鑑賞するのにこんな気軽でなおかつ奥深いものは如何でしょうか?
小山路 長径21.5センチ
甕屋の谷 長径19.5センチ
桃山時代
御売約ありがとうございます。 |
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