|
日本の土馬には大きく分けて、古墳時代の古いタイプと平城京タイプ(大和形)の二つがありますが、今回ご紹介するのはなかなかに珍しい新羅時代の土馬です。日本のそれが側溝や井戸の遺構から出土し、ほとんど例外なく脚・尾など体の一部が折られているのに対し、こちらは墳墓=古墳から出土し、本品のようにほぼ完形の個体も見られる等、おそらく呪術的な意味合いはなさそうです。また古新羅の場合、日本のような裸馬はなく、飾り馬 又は本品のように鞍だけ別作りなのが大きな特徴です。貼り付けの眼や竹管による文様などは日本の古墳タイプにもしばしば見られます。いずれにせよ短足・頭でっかちの当時の馬の特徴をかなりデフォルメし、かなり個性的かつプリミティヴな面白い表現になっています。
◆ 体長 :18,5 cm、高さ: 9cm。右後足に補修があります。
参考画像:『特別展 / 古代文化・馬形の謎』根岸競馬記念公苑(馬の博物館)S.61(1986)年より。 |
|