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本殿をもたず三輪山を御神体として拝する、
原始神道の形態を現代に残す、大和 大神神社の
神宮寺であった大御輪寺の籾塔です。
明治期の廃仏毀釈により廃絶した大御輪寺ですが、
現在聖林寺に伝わる天平仏の国宝 十一面観音像は
大御輪寺に安置されていた仏像であることでも
知られており、往時の隆盛が偲ばれます。
今回出品の籾塔は鎌倉時代の作であり、
同時代の品で比較的見かける機会もある、
室生寺 籾塔と比べると、日に焼けたような木地に
胡粉が塗られているのが特徴です。
石造宝篋印塔はこの頃に制作が始まったと
記憶していますが、作の良い最初期 石造宝篋印塔を
そのまま小さくしたような造形的な美しさと、
情感に訴えかける佇まいが大御輪寺 籾塔の
魅力といえます。
相輪を欠失していますが、石田茂作さんによる
籾塔の解説でも、相輪を残す大御輪寺 籾塔は
未見とあります。
仏教美術に関心のある方にお勧めしたい、
小さな仏塔です。
高さ:約6センチ
参考画像 廃瓦塔の由来 石田茂作 昭和49年
大塚巧藝社
ありがとうございました。 |
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