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埴輪の単純明快な明るさ、魅力は古代の大らかさをそのままストレートに表現している点でしょうか。柔らかく明るく素直なその色は誰しもに受け入れられるものかと思います。
表面の土を櫛目状にならしていますが、そのならし方が荒っぽく豪快で面白い見所ですね。特に下部は土がめくれていたりして、ラフに仕上げています。赤く火色が出たところや炭素吸着してやや黒っぽくなったところなど、変化があってこちらも魅力的です。上部は欠損していますが、発掘のもの故致し方ないところかと思います。
円筒埴輪は土留めの用途で作られたと云われますが、単純にそれだけでもない気がします。と云うのは、道具だけであれば突帯や円を開ける必要はないでしょう。他の形象埴輪の下部も円筒形に作られるわけですし、何か共通の美意識があったんではないでしょうか。詳細な研究は専門家の方にお任せするとして、我々はその素直な造形を愉しむことにしましょう。
画像にある出土明細は発掘された方が書かれたもののようです。それによると現在の茨城県常総市の出土のようで、昭和25年に発掘したものとのことです。持ち主のお名前も記されていますが、ここでは控えさせて頂きます。もともと古墳から出土したもので間違いはないのですが、かなり古い時代に出土したこれを将門の一門の十三塚に納めたものが、昭和になって何かの拍子にこの持ち主の方が発掘したと云うことでしょう。故事来歴がわかると云うのもまたありがたいポイントでしょうか。
座辺で古代に思いを馳せつつ、美しい姿をご堪能ください。
高さ29.8センチ 口径20.2センチ
古墳時代 5世紀頃
御売約ありがとうございます。 |
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