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瀬戸と云う一大窯業地はその創業時から常に時代の最先端をいくハイテクセンターでした。平安～鎌倉に中国陶磁を写したものはとても華やかな印象の製品です。
そして室町時代に入り新たに輸入された天目茶碗を模して作られたのがこれです。本歌はご存知のように鉄釉、つまり天目釉が掛けられたものが多いのですが、この瀬戸では鉄釉はもちろんのこと、他の製品によく使用されていた灰釉を掛けたものも作られました。やや小振りなボディの見込みにまず薄く灰釉が施され、その後口縁に濃いめの灰釉をたっぷり掛けています。珠垂れになったところがとてもきれいなポイント、しっかりといい焼き上がりで、火色が出たところの赤みと緑の灰釉のコントラストもまたいいですね。
見込みには重ね焼きの目痕が四つ、となりで鉄釉製品も焼いていたのか、黒い星がひとつ垂れたのもまたワンポイントでしょうか。
発掘のもので重ねた他の碗が溶着していたようです、それを取った痕が口縁に見えますね、しかし大きく割れたところや補修などは無いので、数多いもののなかからコンディションのいいものを取り上げたようです。
中世と云う時代の生きた証言者、そのひとつであるこの碗、どうぞ座辺で愉しんでみてください。
口径１２～１２.2センチ 高さ４.5～５センチ 室町時代
桐箱付き
口縁の内側と外側、それぞれにひっつき痕、口縁からニュウが１本、高台は目痕を外したときに少し持っていかれたようで、若干カタつきや傾ぐようですが、実用にはさして問題にならないレベルかと思います。
御売約ありがとうございます。
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