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この版木は馬板と呼ばれて主に東北や甲信から越後にかけての民間信仰の遺品の一つです。余計な解説ですがご存知ない方のためにしばし失礼いたします。
狩猟を生業とする人々に貴重な鹿や猪などの獲物を与えてくれる山の神。その神さまが春になって里に降りてきて田んぼにとどまり米などの穀物を実らせてくれる、いわゆる田の神信仰というのがあります。
その降臨するときの神さまの乗り物は馬であるのですが、実際の馬を用意するのはなかなか大変なので、この版木で刷られた紙の馬を竹に挟んで田の畔に立てておくことが行われます。つまり人間の目には見えない神さまが馬に乗って目的地に向かって静々と歩む、これを可視化したものですね。
版木で刷るという行為自体が神聖なもので、村のなかの特別なお家、あるいは神職を奉じている家に残された大変貴重な遺品です。
哀しいかな近代化の波にのまれてしまって、こうしたものが廃棄処分の憂き目に遭っていったのは少なくないことと思います。
実際にこの仕事をしていて、旧家のお蔵からポロッと出てきた、なんていうことは本当になくなりました。そして今後はコレクターさんの手放される機会しか手に入れる機会は無いのじゃないでしょうか。
疾走するようなお馬さんなので静々と歩まれるというよりは、真っ先に田んぼに駆けつけてくれた頼もしい神さまの乗り物という感じ、それもまた面白いお姿でありますね。
横14.5~14.7 縦9.3 厚さ2.1~2.4センチ
江戸時代頃
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70,000円
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